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有害物質問題への取組

製品に含有される恐れのある有害物質に関して、国内外の安全規格とそれに対する当社の品質管理体制や取り組みを紹介します。※当社製品の分析結果データはこちらからをご覧になれます。

大王製作所では積極的に鉛フリー化を進めていますが、2006年に中国工場から鉛フリー製品として輸入したパーツに鉛が混入するというトラブル(輸入開始時の事前検査では鉛フリーとして合格していた)を経験し、輸入入荷時の毎回の受入検査及び出荷前検査を強化すべく、蛍光X線分析装置を社内に設置して、サンプリング検査による品質保証の確保を適宜行っております。
また、お客様からの要望に応じて鉛を含むRoHS2指令の対象金属4物質について蛍光X線分析装置を用いた含有検査結果を即日報告できる体制を整えております。

有害物質に対する当社の取り組み

日本国内においてもようやく食品衛生法が一部改定されて、平成20年10月1日以降に製造又は輸入されるものを対象に、今まで全く規制のなかった製品(金属製のアクセサリーがん具のうち、乳幼児が飲み込むおそれがある小部品に該当するもの)に対しても鉛の規制がスタートしております。
当社といたしましては、今回の規制対象(乳幼児)に限定せずに自主規制として、製品の鉛フリー化を引き続き積極的に推進してまいります。

当社金属製アクセサリー類に含有する鉛の問題に対する対応について

一連の「金属製アクセサリー類に高濃度の鉛が含まれている問題」の報道の中では、中国製をはじめとする輸入品や子供向けの安価な商品に多く鉛が含まれている印象を与えますが、実際にはどのような製法によって作られたものなのかによります。
しかし、食品衛生法の改定により平成20年10月1日以降に製造又は輸入されるものに関して、乳幼児が接触することによりその健康を損なうおそれがある、「乳幼児がアクセサリーとして用いる玩具」がようやく規制の対象となった程度で、残念ながら製造する側、販売する側、消費する側の全てにおいて鉛に対する認識が甘く、 日本国内においても未だに鉛を多く含む材料、製法を用いた金属製品が子供向け金属製アクセサリーに限らず、広く製造され流通しているのが現状です。
当社としては、これを機会に鉛に対する認識を改め、製品中における鉛の含有状況の把握に努め、当該製品への鉛含有の状況及び取扱の注意喚起を行っていくと同時に、規制の対象有無に関わらず鉛フリー化に向けた製法の開発、商品の開発を進めてまいります。

鉛を含有する2大製法に対する代替製法について

製法 鉛の含有率 特徴 参考例 代替案 代替品分析結果
ラバーキャスト ローメタ:
90%前後
ハイメタ:
5%前後
ゴム型を用いた成型のため安価で小ロット(100個程度から)対応可能です。
材料は融点が低く低価格の鉛と錫の合金が使用されています。
ラバーキャスト 参考例

鉛フリー材料を使用して、今まで通りゴム型を活用できる。但し、材料代は今までの2倍程度かかる。
既に製品化対応済みです。

ラバーキャスト 代替案
ラバーキャスト 代替品分析結果
真鍮切削加工
ひきもの
2-3% 真鍮(黄銅:銅と亜鉛の合金)材を用いた製品の中でも特に棒を削り出して成型されたアクセサリーパーツは、切削加工性を高めるために真鍮材の中に鉛が数%含まれています。 真鍮切削加工(ひきもの) 参考例

鉛の代わりにビスマス(0.5-4.0%)を添加して被削性を改良したビスマス系の鉛レス材料にて対応可能です。

真鍮切削加工(ひきもの) 代替案
真鍮切削加工(ひきもの) 代替品分析結果
真鍮切削加工(ひきもの) 参考例

携帯ストラップの先紐パーツ(通称:松葉)に関しては、形状を多少変更することで鉛フリーの素材に切り替え製造販売中です。

真鍮切削加工(ひきもの) 代替案
真鍮切削加工(ひきもの) 代替品分析結果

※鉛の含有率:CPSCの規制値は0.06%

ラインストーン(スワロフスキー社製クリスタルガラスなど)に含まれる鉛について

世の中、ラインストーン(デコ電)が流行していますが、通常流通している所謂クリスタルガラス製には鉛が含まれています。しかしRoHS規制を意識した場合には、スワロフスキー製を含む一般のクリスタルガラスに含まれる鉛について、指令69/493/ECC(注)の別表1(カテゴリ1、2、3及び4)のものは適用除外になる旨が明記されています。

ラインストーンの種類 鉛の含有 RoHS対応
スワロフスキー
有り
スワロフスキー社製クリスタルガラスは、RoHSの適用範囲から除外される色と適合していない色が存在しております。
一般クリスタルガラス
有り
一般的なクリスタルガラスは、製造メーカーにより異なりますので、RoHSの適用範囲から除外される色と適合していない色につきましては、製造メーカーにお問合せください。
ジルコニア
無し
当社で鉛などの含有量を調査した結果、RoHS規制に適合していることが分かりました。
アクリル
無し
当社で鉛などの含有量を調査した結果、RoHS規制に適合していることが分かりました。

金属製アクセサリー類に高濃度の鉛が含まれている問題の報道発表資料一覧

日付 所轄 内容 リンク
平成18年3月6日 東京都生活文化局
消費生活部生活安全課
東京都は、東京都消費生活条例第9条に基づき「金属製アクセサリー類などに含有する重金属類の安全性に関する調査」を実施しました。その結果、市販されている金属製アクセサリー類※1などには、有害な鉛が含有しているものがあることが明らかになりました。
しかし、現在、日本には、金属製アクセサリー類などの鉛に関する規制などはありません。
よって、本日、危害の未然防止を図るため、国への緊急提案を行いましたのでお知らせします。
また、今後、消費者への注意喚起を行います。(以上、東京都報道発表資料より抜粋)
金属製アクセサリー類などに含有する重金属類の安全性に関する調査
平成18年3月8日

厚生労働省医薬食品局
審査管理課化学物質安全対策室
本年3月6日付けで東京都生活文化局より、金属製アクセサリー類などに含有する重金属類の安全性に関する調査が発表され、国内に流通する金属製アクセサリー類などについても、鉛を高濃度で含有する製品があることが判明したことを踏まえ、別添のとおり関係団体に対し鉛の含有状況の把握などの徹底に係る通知を発出致しましたのでお知らせします。(以上、厚生労働省通達資料より抜粋) 金属製アクセサリーなどに含有する鉛に係る通知の発出について
平成18年4月28日 経済産業省及び厚生労働省 経済産業省及び厚生労働省では、「鉛を含有する金属製アクセサリー類などの製造・販売実態などについての調査」を実施したところですが、4月20日までに23団体1,091社から回答がありました。その結果、対応につき公表致します。(以上、経済産業省報道発表資料より抜粋) 鉛を含有する金属製アクセサリー類などに関する実態調査につい
平成18年6月13日 厚生労働省医薬食品局
審査管理課化学物質安全対策室
厚生労働省では平成18年6月13日(火)に第1回目となる 「鉛含有金属製アクセサリー類などの安全対策」に関する専門家による検討会を開催します。 第1回 鉛含有金属製アクセサリー類などの安全対策に関する検討会の開催について
平成19年1月25日 厚生労働省医薬食品局
審査管理課化学物質安全対策室
平成19年1月25日(木)に第4回目となる 「 鉛含有金属製アクセサリー類などの安全対策に関する検討会」に関する専門家による検討会を開催しました。 第4回鉛含有金属製アクセサリー類などの安全対策に関する検討会
平成19年2月16日 厚生労働省医薬食品局
審査管理課化学物質安全対策室
平成19年2月16日(金)付けにて「 鉛含有金属製アクセサリー類などの安全対策に関する検討会報告書」と題して報告書が公開されました。 鉛含有金属製アクセサリー類などの安全対策に関する検討会報告書
平成19年10月8日 厚生労働省
薬事・食品衛生審議会
食品衛生分科会器具・容器包装部会
平成19年10月8日(月)付けの日経MJに【幼児玩具の安全規格強化「塗装」全般に溶出量基準】と題して、厚生労働省は乳幼児の玩具に使用できない物質を定めた食品衛生法の規格を強化し、新たに「塗装」全般と「金属製玩具アクセサリー」について、重金属などの溶出量の安全基準を定めるとの報道がありました。厚生労働省の厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課器具・容器包装係に確認をとったところ、まだ、改正に向けた部会での話し合いの段階であり、年内に報告書をまとめ、来年ある程度の猶予期間を設けて、法制化することになろうとのことです。 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会器具・容器包装部会の開催について
平成19年12月6日 厚生労働省
薬事・食品衛生審議会
食品衛生分科会器具・容器包装部会
平成19年12月6日(木)付けの朝日新聞に【輸入玩具監視を強化】と題して、厚生労働省は乳幼児向けの輸入玩具への監視を強化する方針を決め、食品衛生法の規定を見直し、乳幼児が口に含む可能性のある輸入玩具製品を対象に、基準を超える有害物質が塗料に含まれていないかを検査で確かめるように輸入業者に義務づけるというもの。輸入業者には安全性の確認や問題発生時の回収などの対処を義務ずける。特に塗料については、鉛などの有害物質を一定量以上含んでいないか検査で証明するよう義務付ける。 関連資料

鉛の規制

米国消費者製品安全委員会(CPSC)とは

米国CPSC(The U.S. Consumer Product Safety Commission)とは、消費者製品安全法に従って消費者製品に関する傷害及び死の不合理な危険から国民を保護することを目的として1972年に設立された中央政府機関。
鉛については、2004年に鉛を含有する装身具を飲み込んだ子供に重篤な健康上の影響が出たという事例を確認したため、その後調査分析を行い、CPSCは2005年2月にその結果を公開、子供に対する鉛に起因する潜在的な健康上の危険性を低減する暫定方針を示しました。その暫定方針の中で鉛の含有量については0.06%(600ppm)鉛の溶出量については175μgという限界含有値が示されました。
注)μ=マイクロとは、10-6のこと。1μgは、0.000001g

追記:玩具の鉛使用禁止へ
2008年8月14日、12歳以下の子供向け玩具に鉛の使用を禁止する法案にブッシュ大統領が署名した。
成立した新法は2014年までに製造物の品質検査に当たる新たな機関の設置が盛り込まれているとのこと。

RoHS(ローズ)指令とは

EU全25カ国で人体に有害である6物質を含有する電子機器の輸入、販売を禁止するもので、2006年7月1日より施行され、2015年6月の改正を経て現在に至るまで施行されています。
RoHSは「Restriction of the use of certain hazadous substances in electrical and electronic equipment」の略で、 対象となる電子機器とはテレビやラジオ、白物家電やパソコンなどになります。
当社で取り扱っている金属製アクセサリー商品は一見無関係のように感じられることでしょうが、実際には電子機器製品の取付金具やパーツとして使用されることもあり、EU向け輸出関連企業さまからの規制対応ニーズが高まっています。

RoHS2指令における有害10物質とは

  • Pb(鉛):限界含有値は各パーツの重量あたりの含有率 0.1%(1000ppm)以下
  • Hg(水銀):限界含有値は各パーツの重量あたりの含有率 0.1%(1000ppm)以下
  • Cd(カドミウム):限界含有値は各パーツの重量あたりの含有率 0.01%(100ppm)以下
  • Cr(六価クロム):限界含有値は各パーツの重量あたりの含有率 0.1%(1000ppm)以下
  • PBB(ポリ臭化ビフェニル):限界含有値は各パーツの重量あたりの含有率 0.1%(1000ppm)以下
  • PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル):限界含有値は各パーツの重量あたりの含有率 0.1%(1000ppm)以下
  • DEHP(フタル酸ジエチルヘキシル):限界含有値は各パーツの重量あたりの含有率 0.1%(1000ppm)以下
  • DBP(フタル酸ジプチル):限界含有値は各パーツの重量あたりの含有率 0.1%(1000ppm)以下
  • BBP(フタル酸プチルベンジル):限界含有値は各パーツの重量あたりの含有率 0.1%(1000ppm)以下
  • DIBP(フタル酸ジイソプチル):限界含有値は各パーツの重量あたりの含有率 0.1%(1000ppm)以下

EN71(欧州玩具安全規格)とは

EN71(欧州玩具安全規格)とは対象年令や使用目的など、様々な角度から玩具の安全性について具体的な検査事項を列記しています。
同旨の内容がISO8124にも規定されています。
EU諸国において該当する玩具を製造・販売する場合は、これに従う必要があります。

EN71はPart1から13まであり、EN71 Part3は特定元素の移行に関する条項で、アルミニウム、アンチモン、ヒ素、バリウム、ホウ素、カドミウム、三価クロム、六価クロム、コバルト、銅、鉛、マンガン、水銀、ニッケル、セレン、ストロンチウム、スズ、有機スズ、亜鉛の17元素19成分について、玩具材料の一部若しくは全部を飲み込んでしまった場合に、胃酸によって有害金属等が溶け出す量を規制するものです。

そのEN71及びISO8124の中に鉛の溶出基準値として90ppmという数値が規定されています。
この基準値は乳幼児が誤飲した場合のリスクを想定して設定された基準であり、社団法人日本玩具協会では、この基準を満たすことで、鉛に関して「金属製アクセサリー類など」の安全は確保されるものと考えているようです。
当社においても、社団法人日本玩具協会の基準を満たすべく、EN71-Part3に規定された17元素19成分のうち、鉛についての基準値を満たすべく、検査を行っています。

玩具安全基準(ST基準)における鉛の取り扱いについて

平成18年5月10日付けにて社団法人日本玩具協会は「玩具に該当する金属製アクセサリー類など」に対して、暫定処置として、子供が誤飲した場合における安全性を確保することを狙いとする下記の処置を講ずることとしました。

1.暫定処置
「玩具に該当する金属製アクセサリー類など(携帯ストラップ・キーホルダーを含む)」に対する玩具安全基準(ST基準)として、「ST基準1.5(塗装)」で適用されている「鉛の溶出基準値(90ppm)」とISO8124-3:1997「8.5ガラス/セラミック/金属材料」の試験方法(EN71-3:1995「8.5」も同旨)を暫定的に要件として追加する。
この基準を満たさないときは、ST検査機関が行うST基準適合検査には合格できないことになり、当該「金属製アクセサリー類など」には「STマーク」を付すことができない。
2.対象製品
「玩具に該当する金属製アクセサリー類など」とする
3.対象年齢
製品の対象年齢は、「14歳以下」とする
4.実施時期
平成18年7月1日とする
5.ST検査機関の検査料
一検体7,000円(消費税別)とする

当社では既存の鉛入り製品や鉛フリー商品について独自に上記EN71Part3及びISO8124-3の試験方法にて鉛の安全性試験を行いました。

その結果、下記の通り、鉛を非常に多く含む商品においても表面に鍍金が 施してあるものについては上記の基準(90mg/kg)を満たすことが分かりました。
但し、製品が破損したり鍍金がはがれたりした場合には生地の鉛が基準値を超えて溶出することが考えられますので注意が必要です。

検査対象 当社品番 鍍金 鉛含有量 試験結果 溶出基準
携帯ストラップキャップ(鉛入り) KT-C/4mm/Ni ニッケル鍍金 2-3% 11mg/kg以下
携帯ストラップキャップ(鉛フリー) RS-C/4mm/Ni ニッケル鍍金 0.02% 5mg/kg以下
ラバーキャスト(鉛入り) ローメタ 本金メッキ 90%程度 5mg/kg以下
ラバーキャスト(鉛フリー) ビスマス系 本金メッキ 0.035% 5mg/kg以下

食品衛生法に基づく乳幼児の玩具(おもちゃ)に対する規制について(最新情報)

改定の趣旨
1 近年の多様化したおもちゃに対応できるよう、食品衛生法第62条第1項に規定する「乳幼児が接触することによりその健康を損なうおそれがあるものとして規定するおもちゃの範囲を拡大
2 国際的に通用しているおもちゃの規格(ISO規格など)を取り入れ、おもちゃの衛生上の観点からの規格の国際整合性の確保を図ること
3 鉛などに係る規格を強化し、衛生上の観点から、より一層のおもちゃの安全性の確保を図ること
規則に係る改正の要点
1 指定おもちゃの材質制限の撤廃
2 対象がん具の追加(新たに、アクセサリーがん具が追加)
アクセサリーがん具とは、乳幼児がアクセサリーとして用いるがん具
具体的には指輪、ネックレス、ブローチ、ペンダントなどの装身具の形態をしたがん具のことをいう
但し、キーホルダー、携帯電話のストラップなどおもちゃとして遊ぶことを目的としないものは、これに含まれない
告示に係る改正の要点
1 原材料から最終製品の規格への変更
  • 「塗料」から「塗膜」へ
  • 「材料」から「製造された部分」へ
2 鉛などに係る規格の強化
  • ISOを参考とした溶出規格への変更
  • 対象となる塗膜の拡大
  • 金属製アクセサリーがん具に係る鉛の規格の新設
    新たに金属製アクセサリーがん具(乳幼児が飲み込むおそれのある大きさのものに限る。)に係る鉛の溶出規格を設定したこと。
    ISO規格などに準じ、乳幼児が誤飲により飲み込むおそれのある大きさを判別するための容器を定めこの容器内に圧縮しない状態で置いたとき、容器内に収まる大きさとしたこと。
  • 小部品シリンダー(スモールパーツシリンダー)容器
  • 小部品シリンダー説明書

 

乳幼児が誤飲により飲み込む恐れのある大きさを判別するための小部品シリンダー(スモールパーツシリンダー)容器

誤飲を判別するための小部品シリンダー(スモールパーツシリンダー)容器に関して当社への購入希望の声が多いことから、当社にて製造販売を開始しました。
材質 製品規格 販売価格 メーカー 特徴
アクリル 単価を抑えるために既成のアクリル管を用いるため、内径が32mmとなります。 2750円 株式会社
大王製作所
規格上の内径は31.8+0.1mmとなっていますが、本製品は規格よりも0.2mm大きい作りとなります。これは、単価を抑えるために既成のアクリル管を用いて製造した為です。大きい分には規制を強化する側に働くため、運用上は問題がないかと思われます。
「球状カプセル(直径40mm)誤飲で子供に障害」 バンダイに賠償命令、基準見直し迫る判断
1 事実関係
「ガチャポン」と呼ばれる玩具入りの球状カプセル(直径40mm)を鹿児島市の男児(当時2歳10カ月)誤飲し、約30分後に除去したが、低酸素状態などによる脳障害で自力で体を動かせないなどの重度障害を負った。
2 請求内容
両親らが、製造物責任法(PL法)に基づき、製造元のバンダイナムコゲームス(東京都)に約1億800万円の損害賠償を求めた。
3 判決内容
鹿児島地裁は2009年5月20日、製造元側に約2,626万円の支払いを命じた。判決では、損害額を7,954万円と算定したが、両親にも注意義務違反があったとし、製造元の責任を3割と認定した。
4 争点
製造元は、カプセルが玩具安全基準(ST基準)で定められた直径31.8mm以上を満たしていると主張していたが、裁判長は「3歳未満の幼児でも開口時の大きさが40mmを超えることは珍しくない」、「誤飲の場合に取り出しやすくするため、角形にしたり、気道確保の穴を複数設ける設計が必要」などの指摘をした。
5 海外の安全基準
玩具のスモールパーツ(小部品)に関する基準は、日本では玩具安全基準(ST基準)で定められた直径31.8mm以上というものがある一方で、欧州ではEN71-1規格、米国ではCPSC連邦規則で規定されており、球状の製品については直径44.5mm以上という安全基準が設定されています。
6 当社の取り組み
当社では日本の安全基準に基づいた誤飲を判別するための小部品シリンダー(スモールパーツシリンダー)容器に関して、日本の安全基準に基づいた直径32mmの小部品シリンダー(スモールパーツシリンダー)容器と、直径40mmの基準を採用した小部品シリンダー(スモールパーツシリンダー)容器が現在提供可能となっております。また、海外の安全基準に基づいた直径45mmの小部品シリンダー(スモールパーツシリンダー)のご提供の準備を進めております。詳しくは開発担当までお気軽にお問合せください。
適用期日
1 規則関係
規則第78条の改正については、平成20年5月1日から適用すること。
ただし、平成20年9月30日までに製造され、又は輸入されるものについては、当該おもちゃに係る法第18条第2項の規定は、適用しない。
2 告示関係
告示の改正については、平成20年3月31日から適用すること。
ただし、平成20年9月30日までに製造され、又は輸入されるものについては、なお従前の例によることができる。
Q&A抜粋
Q3
金属製アクセサリーがん具それ自身(全体)は誤飲判定の容器内に納まらないが、その部品が金属製で誤飲判定容器内に納まる場合、この金属製アクセサリーがん具(全体)は、飲み込むおそれのあるものに該当しないと判断して良いか。
A3
金属製アクセサリーがん具の部品が構造上取り外すことができるように設計製造されているもので、かつ、その部品に金属が使用されているものにあっては、飲み込むおそれのあるものに該当する。
したがって、取り外すことのできる金属製の部品は金属製アクセサリーがん具の規格に適合する必要がある。
Q23
塗膜又は金属製アクセサリーがん具の試験において、蛍光X線分析を溶出試験のスクリーニングとして用いても良いか。
A23
蛍光X線分析法を用いた鉛、カドミウム及びヒ素のスクリーニングについては、食品衛生法の規格値を超えるものを見落とさない十分に低い値で判別するならば差し支えない。鉛などが判別値を超えて検出された場合には溶出試験を行うこと。また、金属製アクセサリーがん具でメッキされたもので鉛が検出された場合には量にかかわらず溶出試験を行うこと。いずれにせよ、結果に疑義が生じた場合などには告示で示されている試験法を用いて最終判定が行われることを留意されたい。
矛盾点
対象がん具の追加(新たに、アクセサリーがん具が追加)
アクセサリーがん具とは、乳幼児がアクセサリーとして用いるがん具
具体的には指輪、ネックレス、ブローチ、ペンダントなどの装身具の形態をしたがん具のことをいう
但し、キーホルダー、携帯電話のストラップなどおもちゃとして遊ぶことを目的としないものは、これに含まれない

おもちゃとして遊ぶことを目的としないキーホルダー、携帯ストラップは対象外と言っているが
飲み込む恐れのあるものは対象とすると言っている。
キーホルダー、携帯電話のストラップは飲み込む恐れが絶対にないの???

金属製アクセサリーがん具の部品が構造上取り外すことができるように設計製造されているもので、かつ、その部品に金属が使用されているものにあっては、飲み込むおそれのあるものに該当する。
したがって、取り外すことのできる金属製の部品は金属製アクセサリーがん具の規格に適合する必要がある。

当社といたしましては、キーホルダーや携帯ストラップも当然のことながら乳幼児が飲み込む恐れがあることから、今回の規制対象(乳幼児)に限定せずに 自主規制として、製品の鉛フリー化を引き続き積極的に推進して まいります。

消費生活用製品安全法改正に基づく玩具(おもちゃ)に対する追加規制について(最新情報)

改定の趣旨

令和5年5月16日「消費生活用製品安全法施行令の一部を改正する政令」が閣議決定され、令和5年6月19日に消費生活用製品安全法の特定製品に新たに「磁石製娯楽用品(マグネット)」と「吸水性合成樹脂製玩具」を指定し、技術基準に適合しない製品の販売が規制されます。当該2製品は、仮に事故が発生した場合の事故の危険性が大きく、被害も重大であることから、特定製品へ指定して規制対象とし、本政令の技術基準に適合しない製品は販売を規制することとなりました。
規制製品例:マグネットセット、マグネットボール、吸水性合成樹脂製玩具

規制に係る改正の要点

消費生活用製品安全法の特定製品を指定する消費生活用製品安全法施行令の別表第一に次の2製品を加えます。

1 磁石製娯楽用品(磁石と他の磁石とを引き合わせることにより玩具その他の娯楽用品として使用するもの)
規制対象は乳幼児が飲み込みうる大きさの基準であるISO8124-1に規定されている小部品シリンダーに収まる大きさ以下のものかつ、仮に誤飲した場合でも体外に自然排出される水準の磁力である、磁束指数(最大磁束密度の二乗と極の面積に積)が50kG2・mm2以上のもの。
2 吸水性合成樹脂製玩具(吸水することにより膨潤する合成樹脂)
規制対象は乳幼児が飲み込みうる大きさの基準であるISO8124-1に規定されている小部品シリンダーに収まる大きさ以下のものかつ、仮に誤飲した場合でも体外に自然排出される水準である、吸水前の状態から50%超えて膨潤しないという基準を超えるもの。
  • 消費生活用製品安全法について

 

【規制対象製品】
・磁石と磁石をくっつけることで玩具や娯楽として使う製品。
(乳幼児が飲み込みうる大きさの基準であるISO8124-1に規定されている小部品シリンダーに収まらない大きさのもの、仮に誤飲した場合でも体外に自然排出される水準の磁力である、磁束指数(最大磁束密度の二乗と極の面積に積)が50kG2・mm2未満のものは規制対象外)
・吸水することにより膨潤する合成樹脂
(乳幼児が飲み込みうる大きさの基準であるISO8124-1に規定されている小部品シリンダーに収まらない大きさのもの、仮に誤飲した場合でも体外に自然排出される水準である、吸水前の状態から50%超えて膨潤しないものは規制対象外)

【規制対象外製品】
・磁石同士をくっつけて遊ぶことを目的としていない製品
・乳幼児が飲み込みうる大きさの基準であるISO8124-1に規定されている小部品シリンダーに収まらない大きさのもの
・磁石製娯楽用品の技術基準として、仮に誤飲した場合でも体外に自然排出される水準の磁力である50kG2・mm2未満のもの
・吸水性合成樹脂製玩具の技術基準として、仮に誤飲した場合でも体外に自然排出される水準である、吸水前の状態から50%を超えて膨潤しないもの

誤飲を判別するための小部品シリンダー(スモールパーツシリンダー)容器に関して当社への購入希望の声が多いことから、当社にて製造販売を開始しました。
材質 製品規格 販売価格 メーカー 特徴
アクリル 単価を抑えるために既成のアクリル管を用いるため、内径が32mmとなります。 2750円 株式会社
大王製作所
規格上の内径は31.8+0.1mmとなっていますが、本製品は規格よりも0.2mm大きい作りとなります。これは、単価を抑えるために既成のアクリル管を用いて製造した為です。大きい分には規制を強化する側に働くため、運用上は問題がないかと思われます。

国CPSCとRoHS(ローズ)指令とEN71及び食品衛生法との比較

米国CPSC、RoHS指令及びEN71で求められている鉛の基準値の比較を表にまとめました。
当社においては、分析調査を進めるにあたり、より広範囲な重金属類の規制を行っているRoHS指令に基づく分析を行い、鉛の規制に対しては、より規制値の厳しい米国CPSCの基準である0.06%を下回るように商品の分析調査、改善を行っていく所存です。

規制の種類 法律 対象 鉛の
含有量
含有量の
試験方法
鉛の
溶出量
溶出量の
試験方法
CPSC 米国 消費者製品
安全法
消費者製品に関する傷害及び死の不合理な危険から国民を保護することを目的
0.01%
※1
175μg
※2
EN71
(ISO8124)
欧州 玩具安全
規格
対象年令や使用目的など、様々な角度から玩具の安全性について具体的な検査を規格化
-----
-----
90ppm
※3
RoHS EU 欧州法 環境や人の健康に及ぼす危険を最小化する事を目的
0.1%
※4
-----
-----
厚生労働 日本 食品衛生法 乳幼児が接触することによりその健康を損なうおそれがあるものを対象    
90μg
※5

※1. CPSCの含有量試験(検体中に含まれている鉛の濃度を求める試験。単位:重量%)
試料50ミリグラム~70ミリグラムを100ミリリットルのビーカーに採取し、硝酸を8ミリリットル加え、ホットプレート上で約3ミリリットルになるまで加熱。
冷却後、塩酸2ミリリットルを加えて攪拌し、超純水で50ミリリットルに定容し、ICP発光分光分析用試料とし、分析。

※2. CPSCの溶出量試験(胃酸を想定した溶液に検体からどの程度鉛が溶け出すかを求める試験。単位:マイクログラム)
試料の質量を測定し、糸で試料をポリ容器に吊り下げ、0.07mol/リットルの塩酸を試料の質量の50倍量加えた。容器を37度に設定した恒温振とう水槽に設置し、振とう回数を80回/分とし、規定時間振とうした。1時間振とう後、試料を取り出し、別に用意したポリ容器に移しかえ、0.07mol/リットルの塩酸を加え、引き続き2時間振とうした。振とう後、試料を取り出し、別に用意したポリ容器に移しかえ0.07mol/リットルの塩酸を加え、3時間振とうを行った。以上の振とう操作で得られた3つの溶出液を個々にICP発光分光分析用試料とし、分析した。

※3. EN71の溶出量試験(EN71-3:1995「8.5」ガラス/セラミック/金属材料の試験方法)
玩具又は構成品を50mlのガラス容器に入れ、37±2℃の十分な容量の0.07mol/lの塩酸水溶液を、玩具又は構成品をちょうど覆うように加える。
容器のふたをして、内容物を光から保護し、37±2℃の温度で2時間、そのままの状態を維持する。
遅延なく、デカンテーションの後、薄膜フィルタでろ過し、必要であれば遠心分離して、溶液から固形物を分離する。得られた溶液を分析する。

※4. RoHSの鉛含有試験(検体中に含まれている鉛の濃度を求める試験。単位:重量%)
RoHS指令では特に試験方法の規定がないことから各メーカー毎に試験方法を定めているようである。
当社においては検査委託機関においてEPA352法に準拠した形で試験が行われている。

※5. 食品衛生法における金属製のアクセサリーがん具のうち、乳幼児が飲み込むおそれがある製品の試験方法

> 試験溶液の調製
試料を直径約40mmのビーカーに入れ、37℃に加温した0.07mol/l塩酸 を試料が浸漬するまで加え、遮光して37℃で2時間放置した後、ろ過する。
0.07mol/l塩酸塩酸HCl [K 8180, 特級]6.3mlに蒸留水を加えて1,000 mlとする。

> 鉛
鉛標準原液0.1mlを採り、0.07mol/l塩酸を加えて100mlとする。本液1mlは鉛1μgを含む。この溶液を0.07mol/l塩酸を用いて希釈し、試験溶液と同様の方法により測定し、鉛の検量線を作成する。ただし、鉛標準 原液は第3器具及び容器包装の部C試薬・試液などの項4標準溶液、標準原液で定めるものを用いる。

REACH(リーチ)規制とRoHS(ローズ)指令の比較

REACH(リーチ)規制とは、Registration(登録)、Evaluation(評価)、Authorization(認可) and Restriction(制限) of Chemicals(化学品)を意味するEUにおける化学物質規制のこと。同じEU規制であるRoHS(ローズ、6つの有害物質の使用制限)と比較して、規制の対象が化学、電機、自動車といった幅広い業種に及び、また規制される化学物質は約3万種類となっています。

規制の種類 規制内容 規制の対象 規制開始
REACH EU 化学物質の濃度。
約3万種類の化学物質について安全性評価などを企業に義務付け。
化学、電機、自動車、携帯電話、玩具など日用品にまで及ぶ
2007年6月
RoHS EU 6つの有害物質の含有量規制。
RoHS指令では鉛、水銀、カドミウムは元素規制ですが、REACH規則は化学物質の規制になる。
主に電気、電子機器メーカー
2006年7月

食品衛生法に基づく乳幼児の玩具(おもちゃ)に対する規制について(旧情報)

食品衛生法では、「乳幼児の接触により健康を害うおそれのある玩具(おもちゃ)」として下記のおもちゃを指定していますが、中国製品の塗料に鉛が含まれていた問題などを受けて、新たに「塗装」全般と「金属製玩具アクセサリー」についても対象とする方向で法改正が検討されています。
「塗料」についてはこれまで塩化ビニル樹脂塗料に限定されていましたが、改正案では種類は問わずに塗料としています。
また、「金属製玩具アクセサリー」については 、子供が飲み込む可能性のある小部品(スモールパーツ)の製品で鉛の溶出量を規制する方向です。
そして、これらの「乳幼児の接触により健康を害うおそれのある玩具(おもちゃ)」として扱う範囲を広げ、従来は玩具の種類と材質をそれぞれ指定して対象としていましたが、改正案では材質については撤廃し、材質を問わないようにして、更に玩具の種類に「玩具アクセサリー」などを加えて、事実上すべての玩具を対象とする方向です。

電気用品安全法(PSEマーク)について

PSEマーク

電気用品安全法(PSEマーク)とは、電気製品による危険および障害の発生を防止するために設けられた、安全性の基準を満たすものにつけられるマークです。一般家庭、商店、事務所等で使用される電気製品であり、政令で定められている製品(電気用品)は国の定めた基準であるPSEマーク、事業者名、定格電圧、定格消費電力の表示がないと販売ができないという決まりがあります。弊社商品では、リチウムイオン蓄電池を内蔵する「ポータブルファン」でPSEの認証マークを取得しております。

 

当社取扱製品の有害物質情報(主に業者向け内容)

当社製品の有害物質検査結果は「SDS・有害物質情報」に移動しました。

鉛の検出方法について

誘導結合プラズマ質量分析(ICP/MS:Inductively-coupled Plasma Mass Spectrometer )

誘導結合プラズマ質量分析(ICP/MS)とは、微量元素の組成を調べるために誘導結合プラズマ(ICP:大気圧のアルゴンガスに高周波エネルギーを与えることによって発生した放電プラズマ)をイオン化させ、高感度な質量分析が可能な装置で、複数元素の同時測定ができ、測定範囲が広いなどの特徴があります。
当社においては今回の「金属製アクセサリー類に高濃度の鉛が含まれている問題」に関して調査分析を進めるにあたり、東京都の生活文化局消費生活部生活安全課に問い合わせを行い、実際に東京都の検査を行った機関をはじめいくつかの外部検査機関とコンタクトをとりながら、最終的に納期、単価の面とサービス面で優れていた ユーロフィン・プロダクト・テスティング(株)様を当社のメイン検査機関として利用させていただいています。
当社と ユーロフィン・プロダクト・テスティング(株)様との間に利害関係はございませんがご参考までにご紹介すると納期的には大体1週間で、検査結果が出ると報告書の送付前に一報をpdfファイルで送信してもらうこともできます。
また、単価面においては有害4物質(鉛、カドミウム、水銀、総クロム)の一括で15,000円、鉛だけなら5,000円~となっています。

<クロムに関する注意事項>
当社が外部機関に分析依頼をかける際には、費用面の観点からまず総クロムを測定することにしています。
総クロムの測定結果が基準値以下であれば有害物質である六価クロムも基準値以下であることになります。
万が一、総クロムが基準値を超える値を示した場合には、改めて六価クロムについてのみ、含有量の測定分析依頼(10,000円)をかけます。
総クロム=六価クロムではないことにご注意ください。

蛍光X線分析

蛍光X線分析

蛍光X線分析とは、試料にX線を照射すると得られる蛍光X線のエネルギーを測定することで、含有される元素を特定でき(定性分析)、各元素の蛍光X線の強さから濃度(定量分析)を把握することができます。また、厄介な前処理(物質を溶解するなど)をほとんど必要とせず、試料をそのままの形で分析することが可能です。
但し、蛍光X線分析は簡易法であり精密分析ではないため、目的によって使い分ける必要があります。
当社では自社内で迅速に有害物質を監視・測定できる環境を 構築すべく、比較的容易に分析できる蛍光X線分析装置を導入しました。

当社で導入した装置は金属のみならず、樹脂に対しても適用可能でカドミウム、水銀、鉛、クロムなどの有害物質を含む構成元素をppmレベルで測定することが可能です。蛍光X線の限界から測定できない元素もあります。

<<弊社蛍光X線測定装置による測定結果の見方>>
弊社蛍光X線測定装置による測定結果の見方

Ele:Elementの略で元素をあらわします

ppm:各元素の含有量をあらわします

+/-:不確かさを示します

当社ではRoHSで規制されていCd,Pb,Hg,Crの4つの有害物質に加えて構成元素を表示するようにしています。
この例ではCd,Pb,Hg,Crの4つの有害物質はndという表示なっており、これは未検出(Not Detectable)であったということです。
また、例えばCu(銅)は532.1k (ppm) になっていますので、k=1000ですから 532100ppm、1000ppm=0.1%ですから、53.21%ということになります。

不確かさは統計学的には標準偏差値の2倍(2σ)の数値を示し、最終測定結果が2σの範囲内に95.4%の確立で存在するということを意味します。
例えばBi(ビスマス)の結果は5890±408でしたが、2σha408ppmですから5482ppmから6298ppmの範囲内に95.4%の確立で最終解があるということです。
その範囲内の最も高い確率の高い値が5890ppmだと解釈してください。

弊社蛍光X線測定装置による測定結果の見方

閾値を設定する意味について、ある特定元素(例としてCdカドミウム)を例に説明します。この元素の規制値が100ppmだったとします。本装置に限らず、すべての測定装置には誤差があり、測定結果が規制値の100ppmよりも少しでも大きい値なら規制外と判断するのは危険です。そこで、100ppmより少し高めの値を不合格限界値、反対に 100ppmよりも少し低めの値を合格限界値と、範囲を設定して、 測定結果が不合格限界値を越えていれば、その元素に★マークを、測定結果が合格上限値以下なら何もマークをつけず合格とします。不合格限界値と合格上限値の間のグレーゾーンならば?マークをつけて、測定結果から規制値に対しての合否判断ができるようにしています。 ?マークがついた場合には、さらに測定時間を長くして精度を上げるとか別の精密計測分析機器で測りなおす必要があることを意味しています。

鉛の簡易検出法(メルク社製:Merckoquantシリーズの鉛テストキット・・・溶液向け)

自分の手持ちのアクセサリーに有害な鉛が含まれているのかどうかをもっと手軽に簡単に安価に測定できたらいいと思いませんか?
我々製造メーカーであっても適当な間隔で材料や商品の抜き打ち検査をする必要もあろうかと思います。
そんな想いから日本国内で発信されている情報を収集してみましたが、やはり日本ではまだ鉛に対する認識が低いせいか今回の対象物となる金属製=固体に対して直接検査分析できるものを見つけることはできませんでした。
ひとつ可能性としてあるのは、既に問題となっている液体中の鉛イオンを検出できる試験紙がMerck(メルク)社より発売されていることがわかりました。

  • メルコクァントの鉛テストキット(外観)

    メルコクァントの鉛テストキット(外観)

  • メルコクァントの鉛テストキット(キット内容)

    メルコクァントの鉛テストキット(キット内容)

当社ではこの試験紙を購入して、鉛の含まれる金属製アクセサリーをキットに含まれる酢酸水溶液で溶出せて、 鉛の含有量別にどの程度検出が可能か実験を行いました。
今回は、鉛の多く含まれるローメタのラバーキャスト(鉛約90%程度)と携帯ストラップ(松葉)のキャップに用いられている切削加工用の真鍮材(鉛約2-3%程度)の二つについてテストしてみました。

<切削加工用の真鍮材(鉛含有量約2-3%程度)>
  • 切削加工用の真鍮材(鉛含有量約2-3%程度) 30分後:40mg/l

    30分後:40mg/l

  • 切削加工用の真鍮材(鉛含有量約2-3%程度) 60分:100mg/l

    60分:100mg/l

<ローメタのラバーキャスト(鉛含有量約90%程度)>
  • ローメタのラバーキャスト(鉛含有量約90%程度) 30分後:40mg/l

    30分後:40mg/l

  • ローメタのラバーキャスト(鉛含有量約90%程度) 60分:100mg/l

    60分:100mg/l

以上の結果から、メルク社の「メルコクァントの鉛テストキット」を用いた「金属製アクセサリー類に含まれている鉛の問題」に対して、簡易的な鉛の検出方法として適用可能であると思われます。
注)1ミリグラムは、0.001グラム。

鉛の簡易検出法(メルク社製:Merckoquantシリーズの鉛テストキット・・・溶液向け)

家庭向けの鉛テストキット(2本入り)

家庭向けの鉛テストキット
(2本入り)

アメリカでは家の塗料(ペンキ)に鉛が含まれていたことが社会問題となり、1977年に鉛を含有する塗料の使用が禁止されました。
このような背景の中でアメリカに本社をおくHybrivet Systems社では、一般家庭でも容易に塗料(ペンキ)の鉛テストができるようなキットを販売しています。これは、溶液中という条件はなく、塗料(ペンキ)のような固体に対しても検査をすることが可能です。
商品名は「LeadCheck Swabs」というもので蛍光ペンほどの太さで5㎝にも満たない長さの紙製の筒状になっており、先には筆のような繊維が取り付けられています。使い方は非常に簡単で、中に入っている2種類の物質を反応させて、筆の先から試験薬を対象物に数十秒こすり付けて反応を見るというものです。 通常は黄色の試験薬が鉛が含まれているとピンクから赤へ変化します。

  • 紙製の筒を外した状態

    紙製の筒を外した状態

  • 試験薬は黄色~オレンジ色

    試験薬は黄色~オレンジ色

直接Hybrivet Systems社に問い合わせを行ったところ、現時点では日本での販売代理店は存在しておらず、代理店先を探しているとのことでした。
今回は、当社で直接輸入することにして、主に業務向けの数量の多いパッケージを取り寄せました。
早速、鉛の多く含まれるローメタのラバーキャスト(鉛約90%程度)と携帯ストラップ(松葉)のキャップに用いられている切削加工用の真鍮材(鉛約2-3%程度)の二つについてテストしてみました。

検査方法
切削加工用真鍮材
切削加工用真鍮材

試験薬がピンク色に変化
鉛が含まれていることを示した。

ラバーキャスト(ローメタ)
ラバーキャスト(ローメタ)

試薬の色の変化はなぜか確認できず。
ただ試薬を塗布した場所が濃紺に変色した。

ローメタとハイメタの比較
ローメタとハイメタの比較

鉛の含有量の違いからか
鉛の少ないハイメタよりも鉛の多いローメタの方が変色の度合いが強かった。

 

当社で通常世の中に流通しているような鍍金つきの金属製アクセサリーの表面をテストしたところ、鉛を含む色の変化は認められませんでした。
なぜ、鉛を多く含んだラバーキャストでは 試薬の色の変化を確認できなかったのかをHybrivet Systems社に問い合わせを行い、ご報告をしたいと思います。

Hybrivet Systems社からの回答があり、再実験を行いました。

原因
ラバーキャストにおける今回の結果は検査時に長く強く擦り過ぎたのが原因であることが分かりました。
対策
Hybrivet Systems社からの指示通りに、まずテスト面をきれいにして、 そこに軽く短時間検査薬をつけてみました。
右の結果のように、1分足らずで鉛が含まれていることを示す赤へと変色しました。
但し、ラバーキャストには錫が含まれているため、時間が経過すると最終的には上記のように紫色に変色してしまうとのことです。
結果
結果

以上の結果から、Hybrivet Systems社の「LeadCheck Swabs」を用いた「金属製アクセサリー類に含まれている鉛の問題」に対して、簡易的な鉛の検出方法として適用可能であると思われます。

以上の結果から、Hybrivet Systems社の「LeadCheck Swabs」を用いた「金属製アクセサリー類に含まれている鉛の問題」に対して、簡易的な鉛の検出方法として適用可能であると思われます。

当社への購入希望の声が多いことから、当社にて販売も行うようになりました。
鉛検出用のほか、RoHS規制物質の水銀、クロム、カドミウム検出用やアレルギー対策用のニッケル検出用もございます。

 

有害物質検査試薬のご紹介

商品画像 検査対象 検出限界 販売価格 メーカー 特徴
Pb(鉛)
Pb(鉛)
塗料:0.5%
表面:1micro-g
液体:10-20ppm
お問い合わせください Hybrivet Systems 使い方は非常に簡単で、筆の先から試験薬を対象物に数十秒こすり付けて反応を見るというものです。
通常は黄色の試験薬が鉛が含まれているとピンクから赤へ変化します。
Pb(鉛)
Pb(鉛)
塗料:0.5%
表面:1micro-g
液体:10-20ppm
お問い合わせください Hybrivet Systems 使い方は非常に簡単で、筆の先から試験薬を対象物に数十秒こすり付けて反応を見るというものです。
通常は黄色の試験薬が鉛が含まれているとピンクから赤へ変化します。
Cd(カドミウム)
Cd(カドミウム)
表面:1micro-g
液体:5ppm
お問い合わせください Hybrivet Systems 使い方は非常に簡単で、筆の先から試験薬を対象物に数十秒こすり付けて反応を見るというものです。
通常は黄色の試験薬がカドミウムが含まれているとピンクから赤へ変化します。
Cr(クローム)
Cr(クローム)
表面:1micro-g
液体:10-20ppm
お問い合わせください Hybrivet Systems 使い方は非常に簡単で、筆の先から試験薬を対象物に数十秒こすり付けて反応を見るというものです。
通常は黄色の試験薬がクロームが含まれているとピンクから赤へ変化します。
Hg(水銀)
Hg(水銀)
表面:1micro-g
液体:10-20ppm
お問い合わせください Hybrivet Systems 使い方は非常に簡単で、筆の先から試験薬を対象物に数十秒こすり付けて反応を見るというものです。
通常は黄色の試験薬が水銀が含まれているとピンクから赤へ変化します。
Ni(ニッケル)
Ni(ニッケル)
表面:1micro-g
液体:10ppm
お問い合わせください Hybrivet Systems 使い方は非常に簡単で、筆の先から試験薬を対象物に数十秒こすり付けて反応を見るというものです。
通常は黄色の試験薬がニッケルが含まれているとピンクから赤へ変化します。

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